まるで電子レンジの中で、熱風を浴びるよう。インドが、過去62年間で最悪の猛暑を記録
インド首都圏で最高気温47.8度を記録し、政府は電力対策に奔走しているようです
もともと暑いニューデリーが更に過酷なことに。。。
インドニューデリーでは、過去62年間で最も気温が高い猛暑に見舞われており、使用電気量が急激に増加した結果、送電網に負荷がかかり過ぎニューデリーや隣接するウッタル・プラデシュ州、ラジャスターン州、ハリヤナ州では散発的に停電が発生しています。この電力不足を解消するため、インド政府は、ショッピングモールや街灯の電力供給を削減するなど対策に追われています。
今月7日には、過去62年で最高の47.8度に達しました。その結果、市内の一部で停電が発生し、市民の怒りを買っています。また、最近発生した雷雨の影響で送電線に被害が出ていることも、状況悪化に拍車をかけているようです。
インドの電力会社は送電設備の老朽化と、慢性的な燃料不足により綱渡りの電力供給が続いています。インドでの停電は日常茶飯事ですが、人口1600万人を抱えるニューデリーでは特に被害が大きいようです。
モディ新政権は電力や水といったライフラインの供給改善を公約に掲げていますが、主要政策の権限が委譲されているデリー首都圏では、政府の対応に限界があり、荒れ果てたエネルギーインフラを改善し、インド投資の魅力を取り戻すというモディ新政権の課題を浮き彫りにしています。
デリー首都圏政府は今週、電力消費ピーク時に政府庁舎のエアコンを消すほか、午後10時以降は市内のショッピングモールへの電力供給を止めるよう命令していますが、以前問題は解決しておらず、10日には停電に抗議中にバスを壊したとして3人が逮捕されました。
モディ首相にとって最初の難関になる電力問題
新たに就任したナレンドラ・モディ首相の政府にとって、電力問題は難題になることが確実だ。世界銀行によると、インドでは3億人近くが電力利用を制限されているか、全く利用できない状況に置かれているようです。
このような実際の問題はもちろんとして、インドの今後の経済発展のためにも、プラナブ・ムカジー大統領は、今月のはじめに発表をした新政権の優先政策のなかで、2022年までに全国で24時間の電力供給体制を整えることを約束しました。
ただ、この約束を実現するためには、大部分を国が運営する鈍重な電力システムを根底から見直す必要があるのですが、インドでは中央政府と29の地方政府が電力システムを監督しているため一筋縄では対応ができない。
インド全国の発電能力は現在245ギガワット(GW)ほどで、政府は2017年までにこれを288GWに増強する計画を立てています。
公式統計によると、インドよりも人口が多い中国の設備容量は昨年末時点で1247GW。米国は今年3月時点で1064GWなのに対し、インドでは石炭や天然ガスが不足しているため、発電所の稼働率は4月で約70%にすぎません。
また、送配電も大きな問題となっていて。地方政府や民間の送配電会社は、値上げができないなどの理由で重い負債を抱えています。 顧客に課す電気料金は地方政府が決めるのですが、政治的なリスクを避けるため値上げには及び腰です。
インドの電力問題は2012年夏に、2日間で5億人に影響を与えた停電で大きな注目を集めました。この時の状況は、本当に最悪だったとその当時インドに滞在した日本人に聞いたことがあります。こうした大規模停電を避けるため、政府は技術的な改善作業を行っています。
モディ首相は10年以上州首相を務めたグジャラート州での実績があり、業界幹部や市民の間では電力セクターを建て直してくれるとの期待が高まっています。
同州では電気窃盗が減り、他の住民と電力の奪い合いになるのを避けるため農民専用の送配電網が敷設さました。同州は発電量が消費量を上回る数少ない州の1つです。近年外資企業の誘致を次々に成功させ、工場等を新設しており消費電力量も増加しているにも関わらずそれ以上の発電量がある同州は、インフラ部門においてインド国内で優秀な州です。
ただこれがインド国内全体となった場合には、中央と地方が電力の管理権限を分担しているため、中央政府でのモディ首相の仕事はもっと複雑になります。電気料金を上げれば送配電会社は助かりますが、国民からは不満の声が上がるでしょう。アナリストらによると、モディ首相はまず自身が所属するインド人民党(BJP)が支配する州で、改革を進め、その後他の州へ改革を広める考えがあるようです。
ユーラシアグループのRiser-Kositsky氏は「電力問題を一晩で解決できることは望めない。複雑な問題を解きほぐすのに長い年月がかかるだろう」と述べています。
難しい問題ではありますが、改革を進めなければさらに停電が広がり、国営企業の借金が膨らむことになるとともに、インド経済の鈍化を引き伸ばすことになります。難しいけれども絶対に解決する必要がある、電力問題にモディ政権がどの様に取り組むかを観察することは、今後のインド経済の成長を予測する一つの要素になることは間違いありません。
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